「映画」「舞台(芝居)」「TVドラマ」「TVゲーム」「特撮」「俳優」「バラエティー」「お笑い芸人」「漫画」「小説」「怪談」など批評、評価、感想、意見、注文、いろいろ書きます。

スポンサーサイト

--.--.--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

三谷幸喜作・演出「12人の優しい日本人」舞台レビュー

2007.08.16
 12人の優しい日本人     12人の優しい日本人     12人の優しい日本人
 「12人の優しい日本人」の舞台を、WOWOWで見た。間違いなく傑作!三谷幸喜の真骨頂!

 三谷幸喜(後、敬称略)は、ただものではない!私の中で10年に一人の脚本家、演出家だと思っている。(後、陪審員の番号ではわからないので、すべて本名にする。)

 この戯曲に「起承転結」があるならば、「起」の部分は舞台でも映画でも、だらだらして上手くない。議論になる前の前置きが長すぎるからだ。舞台では効果的かもしれないが、映画では飽きてしまう。それは「ラジオの時間」でも同じ。三谷のすごいところは「転から結」にかけての展開の上手さにある。

 12人の陪審員(それぞれのエピソードがある。)を、どの場所で、どの時間で、どの位置で、椅子に座らせたり、立たせたり、あるいは、誰に、いつ、なんの台詞を言わせるのか、「無罪、有罪の理由」の言葉の応酬など、計算して作っているのが良くわかる。構成が巧みなのだ。笑いは的(=壺)を得、ホロリとさせる台詞と場面、もはや凡人のできる技ではない。三谷の頭の中に、すでに舞台で展開する場面がすべて出来上がっているのか?それとも役者たちと、稽古を通して作り上げていくのだろうか?

 役者に注がれる確かな目、鋭い人間観察力(眼)は、特筆に値する。どうしたらお客さん(=映画の場合は視聴者)にたいして面白いか、どうしたら楽しんでもらえるのか、客観的に、すごくわかっている人だと思う。そして、この戯曲の内容が(万人に、大衆に)わかりやすいからだ。

 司法の仕事に携わっている人ならば、殺人事件で起訴された女性の裁判を、12人の陪審員の議論を通して、裁判の時になぜこんな話をしてこなかったのか、おかしいのではないか?と疑問になるところがたくさんあると思う。それは重箱の隅をつつくことになるけれど。それでも、この殺人事件の話を、2時間以上にわたって、しかもあきさせないで、議論を展開させていく、三谷脚本の力量と手腕は見事だといえるだろう。

 しかも三谷が、1990年当時に(映画「十二人の怒れる男」を下敷きにしても)この戯曲を、30歳以前にすでに完成させていたことだ。この作品ひとつとっても、才能の片鱗を垣間見る事が出来る。今回、2005年の舞台が1990年当時の窮屈な舞台(長方形の机)よりも、陪審員達の机を円形にし、舞台が広い空間になったおかげで役者の動きがダイナミックになった。その事でいっそう面白さが増したといえる。

 「起承転結」の「結」に、この作品の上手さが一番よく現れている。全員一致で無罪に決定した後、12人の陪審員の去り方だ。(これは映画「12人の怒れる男」にもない演出で、三谷の方が上手いともいえる演出。)一見、なんでもない演出なのだが、去り行く順番、一人一人の陪審員の台詞と動作で、人間のやさしさ、温かさが伝わってくる。

 例えば、議論であれだけ争ったにもかかわらず、「どうします、チロット飲みに行きます?、、、。」という、いろんな人に声をかける温水さん。筒井さんと堀内さんに握手をする江口さん。生瀬さんの背中に背広をそっと着せる堀内さん。最初に疑義をした人、生瀬さんが最後に部屋を去っていく、、、。「人間っていいな。人間という生き物はいいな。」という描き方を最後にもってくる。

 役者が、三谷作品に出演したいのがよくわかる。どの役者も主役になりえるし、役者の誰もが印象に残る。そして、演じている役者自身が楽しく面白いからだ。実際、出演した堀部さんがブログでそう答えているのだから。

 この作品は結局何がいいたかったのか?日本人は人の意見に左右されやすいから、日本での裁判員制度は不向きだから、ないほうがいいのか。それともただ単に、「無罪か有罪か。」の討論を、面白おかしい芝居を、見せたかっただけなのか。

 個人的に、この作品は1万円払って観ても損はしないと思った。スタンディングオーベーションが何回もあっても当然といえる完成度の高さだ。またいずれ役者をかえて何度でも上演しても良い作品だ。いや、裁判内容をかえて、まったくの新作でも面白いこと間違いないと思う。三谷なら絶対にできるだろう。

 この作品が、岸田國士戯曲賞をとらなかったのはなぜか?それは、三谷自身のオリジナル作品(映画「12人の怒れる男」が下敷きにあるため)ではなかったからだろう。これが三谷のオリジナル作品だったら間違いなく岸田國士戯曲賞、いや読売演劇賞、最優秀作品賞、脚本賞の気がするのだが。

12人の優しい日本人12人の優しい日本人
(2000/10/25)
塩見三省

商品詳細を見る

 映画版と見比べてみるのも、面白いと思う。

 三谷幸喜を、絶賛しすぎ(=褒めすぎ)ではないか?という答えにたいして、それはもちろんこの作品に限ってだ。三谷作品の中で舞台「オケピ!」は、最高の愚作であり最大の駄作だ!スタンディングオーベーションをしたお客、そしてこの作品「オケピ!」に岸田國士戯曲賞を与えた審査員、この戯曲を演じた一部の役者、すべてを否定する。(三谷幸喜自身が、天才でも神レベルでもないことがわかる。) 

テーマ : 演劇

ジャンル : サブカル

コメント
コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

クラさん

Author:クラさん
FC2ブログへようこそ!

最近の記事
最近のコメント
ブロとも申請フォーム
アクセス解析
myblogのアクセス解析
フォクすけ版
Firefox3 Meter
カレンダーとアーカイブ
検索エンジン

Yahoo!検索

  • ウェブ全体を検索
  • このサイト内を検索

楽天市場
週刊ダイヤモンド
ブックオフオンライン
ブックオフオンライン
コカコーラパーク
くるくるウィジェット
ベストセラー

おまかせリンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。